みなさんは「世界農業遺産」をご存知ですか?
世界農業遺産は、正式名称をGIAHS(ジアス-Globally Important Agricultural Heritage Systems-)といいます。
世界農業遺産は、イタリア・ローマに本部を持つ、国際連合食糧農業機関(FAQ)が、2002年に開始した仕組みです。
FAQが定めている「世界農業遺産」の定義は、「次世代に受け継がれるべき重要な伝統的農業や生物多様性、伝統知識、農村文化、農業景観などを全体として認定し、その保全と持続的な活用を図るもの」。
つまり、農業に関することだけに留まらず、それを取りまく環境・生物・文化すべてが優れた基準を満たし、継続・発展させるべきものに認定されるのです。
認定基準は以下の5つで、それぞれに対して実際の取り組みが必要です。
この取り組みが認められ、2015年12月「清流長良川の鮎」として、世界農業遺産に認定されました。
1.食料と生計の保障
鮎を中心とした内水面漁業が盛んで、鮎を活用した食文化が発展。「長良川鵜飼」で知られるように、観光資源の面からも多くの人が鮎と関わっています。
2.生物多様性と生態系機能
長良川流域には太平洋から遡上するアユ、サツキマス、特別天然記念物のオオサンショウウオや天然記念物のネコギギなど、多彩な生物が生息。素晴らしい生育環境にあります。
3.知識システムと適応技術
「鵜飼漁」をはじめ「郡上釣り」「瀬張り網漁」といった伝統的な漁法が今も残り、天然鮎を豊かに育み、増やしていく「孵化放流」にも取り組んでいます。
4.文化、価値観、社会組織(農文化)
1300年もの歴史を持つ「長良川鵜飼」、美しい水が創る日本三大和紙のひとつ「美濃和紙」など、世界に発信できる伝統技術が受け継がれています。
5.優れた景観、土地と水資源管理の特徴
岐阜県11市町村を流れる長良川、それを取巻く里山・情緒豊かな町並みは、訪れる人々を癒す存在。川の下流に美しい水を届ける「水舟」の文化も息づいています。
現在、世界農業遺産は、15各国36地域(うち日本では8地域)で認定を受けています。
名前が似ているとして「ユネスコの世界文化遺産」が挙げられますが、ユネスコの世界文化遺産が「有形の文化遺産および自然遺産の保護・保存」を目的としているのに対し、世界農業遺産は「無形の農業システムの保全」を目的にしています。
岐阜県の「世界農業遺産」への取り組みは、2014年7月の「清流長良川の農林水産業推進協議会」発足によりスタートしました。
その後「清流長良川の鮎」の素晴らしさを広く伝え、翌年12月に晴れて認定、今後は、知ってもらう活動だけでなく、伝統的な農業・農法や豊かな生物多様性などを次世代に確実に継承していくという、より高度な使命を担います。
世界が認めた「清流長良川の鮎」をもっと多くの方に知っていただくとともに、先人から受け継いだものを後世に伝えるべく、これからも努力してまいります。
